アパレル業界では、年間を通じて売上に波があります。繁忙期と閑散期の動向を把握することで、在庫や人員配置、販促施策を最適化でき、無駄なコストを抑えつつ利益を最大化することが可能になります。今回は、アパレル業界における代表的な繁忙期・閑散期のスケジュールを解説するとともに、時期別に取り組むべき対策を具体的に紹介します。
アパレル業界における繁忙期と閑散期の基本スケジュール
アパレル業界の売上は年間を通じて一定ではなく、はっきりとした波があります。特に注目すべきは、1月と7月に訪れる大規模なバーゲンセールです。新年初売りと夏のセールは、多くの顧客が来店し、年間で最も売上が集中する時期として知られています。逆に、セール直後の2月と8月は来客数が減り、いわゆる「ニッパチ」と呼ばれる閑散期に突入します。
この繁閑のサイクルを理解することは、アパレルブランドを運営するうえで極めて重要です。時期に応じた販促施策や在庫調整、人員配置を適切に行うことで、売上の波に振り回されることなく、計画的な運営が可能になります。
一年で最も忙しい1月と7月の特徴
1月はお正月セール、福袋の販売などが重なり、1年で最も売上が集中する繁忙期です。3日間の初売り期間に加え、翌週末も多くの来客が見込まれます。販売員は接客が追いつかないほどの混雑に直面し、店舗によっては個人売りを付けない対応を取るほどです。
7月は夏のバーゲンセールで、普段とは異なる客層が店舗に訪れ、ブランドの認知拡大にもつながります。多くの人にブランドを知ってもらえるこの時期は、売上だけでなくファンづくりにも大きなチャンスとなります。
2月・8月が「ニッパチ」と呼ばれる理由
1月と7月のセールが終了すると、2月と8月には消費の反動が訪れます。この2カ月間は年間を通じて最も客足が鈍く、1日の売上を出すのに苦労することも少なくありません。売れ残りの処分セールが行われる場合もありますが、フリーの来客数は顕著に減少します。
しかしこの時期は、春物や秋物の立ち上がりとも重なり、顧客への先取り提案を行う絶好のタイミングでもあります。見方を変えれば、閑散期こそ中長期的な関係性を築くうえでの重要な時期なのです。
繁閑の波を見越した年間スケジュールの重要性
アパレル運営では、「売れる月に売る」のは当然として、「売れにくい月にどう動くか」も同じくらい重要です。年間スケジュールをあらかじめ設計し、繁忙期に向けた在庫準備や閑散期の販促計画を練っておくことで、急激な変動に翻弄されるリスクを最小限に抑えることができます。
年間の売上を左右するのは、実は閑散期の過ごし方にあると言っても過言ではありません。
繁忙期にやるべきブランド運営のポイント
繁忙期はただ忙しいだけの期間ではなく、ブランドにとっては「新たなファンを獲得できる最大のチャンス」でもあります。セールによる来客増は確かに嬉しいことですが、それを一過性の売上に終わらせるのか、次のシーズンに繋げられるのかは、運営次第です。
繁忙期の接客で意識すべきこと
セール時期はとにかく人が多く、1人1人に丁寧な接客をするのが難しいと感じるかもしれません。それでも、できる限り「このブランドは感じが良かった」「また来たい」と思ってもらえるような最低限のホスピタリティは意識したいところです。
混雑のなかでも、丁寧な言葉遣いや笑顔、簡潔で的確なアドバイスを心がけるだけで印象は大きく変わります。こうした積み重ねが、プロパー商品のリピーター獲得につながります。
マネキン・ディスプレイによる訴求強化
スタッフの手が足りない状況下では、商品そのものが「接客してくれる状態」をつくることが求められます。マネキンの着せ方、ポップの言葉選び、商品配置などを工夫することで、接客がなくても「買いたくなる空間」を演出できます。
ディスプレイの強化は、接客コストを下げながら売上を最大化するための重要な戦略です。
単価低下に対応するセット販売戦略
バーゲンセールでは単品価格が下がるため、客単価も下がりがちです。このとき意識すべきなのが「セット率」の向上です。1人の顧客に対して何点提案できたかによって、同じ来店数でも売上が大きく変わってきます。
トップス+ボトムス、ジャケット+ワンピースなど、「ついで買い」を促す組み合わせ提案を徹底することで、セール期間の売上をさらに押し上げることが可能になります。
閑散期の時間を有効活用するための施策
閑散期は売上が落ちることから、どうしても気持ちも沈みがちです。しかし、顧客と向き合う時間がしっかり取れるこの時期こそ、ブランドの土台を強化する絶好のチャンスです。
顧客との関係構築を深めるアプローチ
来店数が少ない分、1人1人のお客様との会話時間を長く取ることができます。この機会に、顧客様との関係性をより深めていきましょう。たとえば、新作の先行案内や、お礼のDMに手書きメッセージを添えるだけでも、顧客のロイヤルティは高まります。
特に春物・秋物の立ち上がりタイミングでは、プロパー価格でも提案しやすいため、しっかりと信頼を積み重ねておくことが大切です。
スタッフ教育とスキルアップの機会
繁忙期には手が回らなかったロールプレイング、商品知識の学習、VMD改善などに取り組むには絶好の時期です。スタッフの接客スキルを底上げし、ブランドの価値を的確に伝えられる体制をつくることが、次の繁忙期での結果に直結します。
教育だけでなく、スタッフのモチベーション管理やキャリア面談などにもこの時期を活用しましょう。
次の繁忙期に備える販促準備
閑散期にしっかり準備しておけば、次の繁忙期に慌てることなく成果を出せます。たとえば、セール用のコーディネート提案を事前に組んでおく、マネキンの着せ替えプランを作成しておくなど、繁忙期の運営効率を高める施策を今のうちに整えておきましょう。
季節やイベントごとの売上変動と対応戦略
アパレル業界の売上は、季節やイベントによっても大きく左右されます。それぞれの時期における需要の変化を理解し、適切な対応を行うことで、年間を通じた売上の安定化につながります。
春:新生活とトレンドアイテムの需要
4月から5月にかけては、新生活の始まりと重なり、特に20代前半をターゲットとするブランドでは売上が伸びやすい時期です。進学や就職にともない、親子で来店するケースも多く、ニーズが明確なため提案しやすいのが特徴です。
この時期はトータルコーディネートでのまとめ買いも多く、接客の質によって客単価に大きな差が生まれます。春らしいカラーや着回しできるアイテムを軸に、セット提案を意識することで、効率的に売上を伸ばすことが可能です。
夏:バーゲンと秋物の立ち上がりへの切り替え
7月は夏のバーゲンセールで繁忙期に突入します。普段来店しない層との接点が生まれる貴重な時期であり、ブランドを知ってもらう大きなチャンスとなります。
ただし、値引きによる単価下落には注意が必要です。単品売りに頼らず、複数点購入を促すことで、客単価を維持する工夫が求められます。バーゲンが終わると、8月は一転して閑散期になりますが、秋物の導入時期でもあるため、新作提案を通じて顧客の関心を維持することが重要です。
秋:実需に応じた提案と色使い戦略
9月から10月は秋物が本格的に売れ始めるタイミングです。「今すぐ着たい」実需層が増え、秋らしいカラーのアイテムが人気を集めます。とくに“1点投入”で季節感を演出できる商品は、この時期の売れ筋となりやすいため、効果的な見せ方と提案が売上を左右します。
また、大型ショッピングモールでは優待イベントが行われる時期でもあるため、イベントカレンダーを意識した販促計画も必要です。
冬:コート・ギフト需要と年末商戦の管理
11月に入ると、アウター需要が高まり、コートの販売が本格化します。高単価商品が多いため、1点の販売で売上が大きく動く時期です。「コートを買いに来た」という明確な目的を持った来店が多く、提案力と商品知識が問われます。
12月に入ると、年末年始のバーゲンセールに向けて一部のフリー客が買い控えに入りますが、その分、顧客向けプレセールが売上を支える重要な施策になります。来店日を分散させながら、顧客に合わせた提案と声がけを徹底することが、売上安定につながります。
小ロット生産と繁閑差を活かしたブランド運営
繁忙期と閑散期がはっきりしているアパレル業界では、在庫管理や生産体制も柔軟であることが求められます。とくにブランド立ち上げ初期や小規模運営においては、大量生産に頼らず、小ロットでの製造を前提とした運営が非常に効果的です。
在庫リスクを抑える少量生産のメリット
需要が読みにくい立ち上げ期や季節の変わり目では、在庫の過剰や売れ残りが大きなリスクになります。小ロット生産であれば、最小限の数量から市場反応を確かめることができ、無駄な在庫を抱えるリスクを抑えることができます。
たとえば、1月や7月などの繁忙期に向けた限定商品や、9月以降の秋物立ち上げのタイミングにおける先行投入など、短期で動かせる柔軟な生産体制があることで、チャンスを逃さずブランド力を高めることが可能です。
立ち上げ期や閑散期に強い生産体制とは
閑散期はブランド戦略を見直す貴重な時間でもあります。新作の開発、仕様書の準備、素材の見直しなど、生産面の準備を整えておくことで、次の繁忙期にスムーズな投入が可能になります。
このとき、発注から納品までを一括で任せられるパートナーがいれば、限られたリソースでも安心してブランド運営に専念することができます。こうした体制を構築しておくことで、繁閑の差が大きいアパレル業界においても、持続可能で無理のないブランド運営が可能になります。
kuguluで始めるブランドの安定運営
アパレルブランドの立ち上げや運営において、「小ロットで安心して発注できる」「一貫体制で任せられる」という要素は非常に重要です。そんなニーズに応えるのが、『kugulu(クグル)』です。
kugulu(クグル)は、小ロットから注文可能なオーダーアパレルサービスです。50枚から試せる少量生産に対応し、個人ブランドやユニフォーム制作、イベント向け衣装など幅広いニーズに対応しています。
・デザイン確定後は、受注から納品まで一社完結
・縫製や加工も含めた一貫体制で進行
・試作から本生産までの流れも丁寧にサポート
・ブランディングに必要な要素も丸ごと対応可能
繁忙期・閑散期の波を見越した柔軟な生産体制で、あなたのブランド運営を力強く支えます。まずは「kugulu」で、無理のないアパレルづくりを始めてみませんか?
「kugulu」の詳細はこちらから:https://www.kugulu.jp/