アパレル商標登録の基本ガイド!ブランド保護の手順と費用を徹底解説

アパレル商標登録の基本ガイド!ブランド保護の手順と費用を徹底解説 COLUMN

アパレル業界でオリジナルブランドを立ち上げる際、多くの方が商品開発やマーケティングに注力しがちです。しかし、ブランドの長期的な成功を考えるなら、商標登録による知的財産の保護は欠かせません。

商標登録とは、ブランド名やロゴマークなどを法的に保護する制度です。この手続きを行うことで、他社による無断使用を防ぎ、ブランドの独自性を守ることができます。特にアパレル業界では、ブランドイメージが売上に直結するため、商標権の取得は事業の根幹を支える重要な投資といえるでしょう。

近年、個人でもブランドを立ち上げやすくなった一方で、商標に関するトラブルも増加しています。せっかく時間と労力をかけて育てたブランドが、商標権の問題で使用できなくなってしまうケースも少なくありません。そうした事態を避けるためにも、正しい知識を身につけて適切な対策を講じることが大切です。

アパレル業界における商標登録の重要性

アパレル業界では、ブランド力が商品の価値を大きく左右します。同じような商品でも、有名ブランドの商品とそうでない商品では、消費者の認識や購入意欲に大きな差が生まれるからです。

ブランド名やロゴの法的保護とは

商標登録を行うと、登録した商標について独占的な使用権を得られます。これは「商標権」と呼ばれる強力な権利で、他者が同一または類似する商標を無断で使用することを法的に禁止できます。

たとえば、あなたが「○○ファッション」というブランド名で商標登録を行った場合、他の会社が同じ名前やよく似た名前でアパレル商品を販売することを差し止めることができます。これにより、長年かけて築き上げたブランドイメージや顧客の信頼を守ることが可能になります。

商標権は登録から10年間有効で、更新手続きを行えば半永久的に権利を維持することができます。この点が、特許権や実用新案権など他の知的財産権と大きく異なる特徴です。

商標権侵害のリスクと対策

商標登録を怠ると、様々なリスクに直面する可能性があります。最も深刻なのは、他社に先に商標登録されてしまい、自分のブランド名が使えなくなってしまうケースです。

実際に、長年使用してきたブランド名やロゴが他社の商標権を侵害しているとして、使用停止や損害賠償を求められる事例が数多く報告されています。こうした事態になると、商品の回収や包装材の作り直し、広告宣伝物の変更など、莫大なコストが発生してしまいます。

また、インターネット上でのブランド展開を考えている場合、ドメイン名の問題も生じる可能性があります。商標権を持たない状態では、同名のドメインを他者に取得されてしまうリスクもあるのです。

アパレル商標登録の対象となるもの

アパレル業界で商標登録できるものは、ブランド名だけではありません。幅広い要素が商標として保護の対象となります。

登録可能な商標の種類

商標として登録できるものには、文字、図形、記号、立体的形状、色彩、音、動き、ホログラム、位置商標など、多岐にわたります。アパレル業界では特に以下のような要素が重要になります。

ブランド名は最も基本的な商標です。「ユニクロ」「ZARA」のような文字商標がこれにあたります。読み方が同じでも、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットなど、表記が異なれば別々に登録する必要がある場合もあります。

ロゴマークも重要な商標要素です。ナイキの「スウォッシュ」やアディダスの「3本線」のように、独特のデザインは強力なブランド識別機能を持ちます。文字とロゴを組み合わせたものも、一つの商標として登録可能です。

近年注目されているのが色彩商標です。ティファニーブルーやエルメスオレンジのように、特定の色がブランドを象徴する場合、その色自体を商標登録することができます。

アパレル業界特有の注意点

アパレル業界では、商品の種類や販売チャネルによって商標の区分を適切に選択する必要があります。商標登録は「区分」と呼ばれるカテゴリーごとに行われ、アパレル関連では主に第25類(被服、履物など)が該当します。

ただし、アクセサリーを扱う場合は第14類(貴金属、宝飾品)、バッグや革製品なら第18類(かばん、袋物)も検討する必要があります。また、オンラインでの販売を想定している場合は、第35類(小売業務)の登録も重要になってきます。

さらに、海外展開を視野に入れている場合は、各国での商標登録も検討しなければなりません。商標権は各国ごとに独立しているため、日本で登録していても海外では保護されないからです。

商標登録の具体的な手続きと流れ

商標登録の手続きは複雑に思えますが、基本的な流れを理解すれば、個人でも十分に対応可能です。ただし、確実性を求める場合は専門家への相談も検討しましょう。

出願前の商標調査の重要性

商標登録を申請する前に、最も重要なのが先行商標の調査です。すでに同一または類似する商標が登録されていないかを確認する作業で、これを怠ると出願が拒絶される可能性が高くなります。

調査には特許庁が提供する「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」という無料データベースを活用できます。このシステムでは、登録済みの商標だけでなく、出願中の商標も検索することができます。検索の際は、完全一致だけでなく、読み方が同じもの、見た目が似ているもの、意味が類似するものまで幅広く調べることが大切です。

また、商標調査では国際分類も重要な要素になります。同じ商標でも、異なる商品・サービス区分であれば登録可能な場合があるためです。アパレル関連の第25類以外にも、関連する区分での登録状況を確認しておくことで、将来的な事業拡大にも備えることができます。

特許庁への申請手順

商標調査で問題がないことを確認したら、いよいよ特許庁への出願手続きに入ります。現在は電子出願が主流となっており、インターネットを通じて24時間申請することが可能です。

必要書類と記載方法

商標登録出願に必要な主な書類は「商標登録願」です。この書類には、出願人の情報、商標の詳細、指定商品・指定役務などを正確に記載する必要があります。

商標の記載では、文字商標の場合は正確な文字を、図形商標の場合は鮮明な図面を添付しなければなりません。色彩を主張する場合は、色の指定も忘れずに行います。指定商品・指定役務の記載は特に重要で、将来どのような商品やサービスで商標を使用する予定かを具体的に記載します。

出願時には、商標の使用意思があることも重要な要件です。実際に使用する予定がない商標は登録することができません。

審査期間と結果通知

出願後、特許庁での審査が開始されます。審査期間は通常6ヶ月から12ヶ月程度で、内容や時期によって変動します。審査では、商標の識別力、先行商標との類似性、公序良俗に反しないかなどが検討されます。

審査の結果、問題がなければ「登録査定」が通知され、登録料を納付することで商標権が発生します。一方、問題がある場合は「拒絶理由通知書」が送付され、期限内に意見書や補正書を提出することで対応することができます。

アパレル商標登録にかかる費用

商標登録には様々な費用が発生しますが、ブランド保護への投資として考えれば決して高額ではありません。費用の内訳を理解して、予算計画を立てることが大切です。

特許庁への支払い費用

基本的な費用として、出願時に納める「出願料」があります。一区分あたり12,000円で、インターネット出願の場合は10,400円になります。アパレルブランドで複数の区分に出願する場合は、区分数に応じて費用が増加します。

登録査定後には「登録料」の支払いが必要です。10年分を一括で納める場合は一区分あたり28,200円、5年ずつ分割で納める場合は一区分あたり16,400円になります。長期的な視点で考えると、一括納付の方が総額は安くなります。

これらの基本費用だけで見ると、一区分の商標登録には最低でも約4万円程度の費用がかかることになります。

専門家依頼時の追加コスト

個人で手続きを行うことも可能ですが、確実性や効率性を考慮して弁理士に依頼する場合は追加費用が発生します。弁理士費用は事務所によって異なりますが、一般的には10万円から20万円程度が相場です。

専門家に依頼するメリットは、商標調査の精度向上、適切な区分選択、拒絶理由通知への対応など、専門知識を活用できる点にあります。特に、事業の将来性を考慮した戦略的な商標出願を行いたい場合は、専門家のアドバイスが価値を発揮します。

商標登録後の管理と更新

商標権を取得した後も、継続的な管理が必要です。商標権は登録から10年間有効ですが、更新手続きを行うことで半永久的に権利を維持することができます。

権利の維持に必要な手続き

更新時期が近づくと、特許庁から更新通知が送付されます。更新料は一区分あたり38,800円(10年分一括)または22,600円(5年分)です。更新手続きを怠ると商標権が消滅してしまうため、期限管理は非常に重要です。

また、商標の使用状況についても注意が必要です。商標権は「不使用取消審判」という制度により、継続して3年以上使用していない場合、第三者の請求によって権利が取り消される可能性があります。

商標権の活用方法

取得した商標権は、自社での使用だけでなく、ライセンス契約により他社に使用許諾することで収益を得ることも可能です。また、商標権侵害を発見した場合は、使用差止請求や損害賠償請求を行うことができます。

ブランドの価値向上とともに、商標権自体も資産価値を持つようになります。事業譲渡や会社売却の際には、商標権も重要な評価要素となるため、適切な管理と活用が事業成功の鍵となります。

まとめ|アパレルブランドの成功に向けて

アパレル商標登録は、ブランド保護の基本中の基本です。事業開始時から適切な商標戦略を立てることで、将来的なトラブルを回避し、ブランド価値の向上につなげることができます。

商標登録には一定の費用と時間がかかりますが、ブランドが成長するにつれてその価値は何倍にもなって返ってきます。特に、これからアパレル業界に参入する方や、ブランド展開を考えている方は、事業計画の段階から商標登録を検討することをお勧めします。

手続きの複雑さに不安を感じる場合は、専門家への相談も検討してください。適切なアドバイスを受けることで、より効果的な商標戦略を構築することができるでしょう。

そして、商標登録でブランドを保護したら、次は実際の商品作りです。オリジナルアパレルの製作をお考えなら、小ロットからの オーダーアパレル「kugulu(クグル)」がお手伝いします。

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