ファッションドローイングとは?基本の描き方と上達のコツを解説

ファッションドローイングとは?基本の描き方と上達のコツを解説 COLUMN

ファッションドローイングは、服飾デザインの基礎となる重要なスキルです。デザイナーが頭の中のアイデアを具体的な形にするための手段として、ファッション業界では欠かせない技術とされています。この記事では、ファッションドローイングの基本概念から実際の描き方、上達のコツまでを初心者にもわかりやすく解説していきます。

ファッションドローイングとは何か

ファッションドローイングとは、服飾デザインのアイデアを視覚的に表現するための専門的な描画技術です。単なる絵画とは異なり、デザインの意図や構造を正確に伝えることを目的としており、ファッション業界における重要なコミュニケーション手段として位置づけられています。

ファッションドローイングの定義と目的

ファッションドローイングは、服のデザインを二次元の紙面上に表現する技術です。デザイナーが考案した服のシルエット、ディテール、素材感、色彩などを的確に描き出すことで、製作者や関係者にデザインの意図を伝える役割を果たします。

この技術の主な目的は、デザインの記録と共有です。頭の中にあるアイデアを具体的な形として残すことで、後の製作工程でのミスを防ぎ、効率的なものづくりを可能にします。また、クライアントやチームメンバーとのコミュニケーションを円滑にし、デザインの方向性を明確にする重要な手段でもあります。

ファッションイラストとの違い

ファッションドローイングとファッションイラストは混同されがちですが、実際には明確な違いがあります。ファッションイラストは主に商業的な目的で描かれる装飾的な作品で、美しさや魅力的な表現に重点が置かれています。

一方、ファッションドローイングは実用性を重視した技術的な図面です。正確なプロポーション、詳細な構造、実際の製作に必要な情報を含んでいることが特徴です。ファッションイラストが「見せるため」の絵であるとすれば、ファッションドローイングは「作るため」の設計図と言えるでしょう。

デザイン業界での役割と重要性

現代のファッション業界において、ファッションドローイングは設計の起点となる重要な工程です。デザイナーはまずドローイングでアイデアを具現化し、それを基にパターン作成、サンプル製作へと進んでいきます。

特にブランド立ち上げや新しいコレクション開発において、ファッションドローイングは欠かせないスキルです。投資家やパートナーに対してデザインコンセプトを説明する際にも、視覚的に理解しやすいドローイングは強力なプレゼンテーション材料となります。デジタル化が進む現代でも、手描きのドローイングには独特の温かみと説得力があり、多くのデザイナーに愛用されています。

ファッションドローイングの基本知識

 

ファッションドローイングを始めるためには、適切な道具の選択と基本的な技術の理解が必要です。ここでは、初心者が知っておくべき基礎知識について詳しく解説していきます。

必要な道具と材料

ファッションドローイングに必要な道具は、比較的シンプルで手に入りやすいものばかりです。基本的には鉛筆、消しゴム、紙があれば始めることができます。

鉛筆は硬さの異なる数本を用意することをおすすめします。H系の硬い鉛筆は細かいディテールや薄い線を描くのに適しており、B系の柔らかい鉛筆は濃い影や太い線を表現するのに向いています。2H、HB、2B程度があれば十分でしょう。

紙についてはクロッキー帳やスケッチブックが使いやすく、A4またはB4サイズが一般的です。表面が滑らかすぎず、鉛筆の粉がよく定着する紙質のものを選ぶと良いでしょう。消しゴムは練り消しゴムがあると、細かい部分の修正や質感の表現に便利です。

基本的なプロポーションの描き方

ファッションドローイングでは、人体の正確なプロポーションを理解することが重要です。一般的に、ファッション画では実際の人体より脚を長く、全体をスタイリッシュに描くことが多く、頭身は9から10頭身程度で描かれます。

基本的な描き方として、まず全体の長さを9等分し、上から1つ目が頭、2つ目が胸、3つ目がウエスト、5つ目が股下、9つ目が足先というように配置します。肩幅は頭の幅の約2倍、ウエストは頭の幅程度を目安にすると良いでしょう。

最初は正面から見た立ちポーズから練習を始め、慣れてきたら横向きや動きのあるポーズにも挑戦してみましょう。人体の基本構造を理解することで、どんなポーズでも自然に描けるようになります。

ファッションクロッキーとテクニカルドローイング

ファッションドローイングには、主にファッションクロッキーとテクニカルドローイングという2つの種類があります。それぞれ異なる目的と特徴を持っているため、使い分けることが重要です。

ファッションクロッキーは、デザインのイメージやシルエットを素早く表現する手法です。細かいディテールよりも全体の印象や雰囲気を重視し、流れるような線で描かれることが特徴です。アイデア段階での検討や、クライアントへの提案時などに活用されます。

テクニカルドローイング(フラット画とも呼ばれます)は、より正確で詳細な設計図的な描画です。縫い目、ボタン、ポケットなどの具体的なディテールまで描き込み、実際の製作に必要な情報を含んでいます。パタンナーや縫製担当者が参考にする重要な資料として使用されます。

ファッションドローイングの描き方手順

ファッションドローイングの描き方手順

ファッションドローイングを上手に描くためには、正しい手順を理解し、段階的に進めることが重要です。ここでは、初心者でも実践できる具体的な描き方を詳しく解説します。

人体の基本構造から始める方法

ファッションドローイングの第一歩は、人体の基本構造を正しく把握することです。まず、簡単な棒人間から始めて、徐々に肉付けしていく方法が効果的です。

最初に全体のバランスを決める補助線を引きます。縦の中心線と横の基準線を引くことで、左右対称で安定した構図を作ることができます。次に、頭を楕円形で描き、そこから肩、胸、ウエスト、腰の位置を決めていきます。

関節の位置を丸で印をつけ、それらを線で結ぶことで基本的な骨格を作ります。この段階では細かいディテールは考えず、全体のプロポーションとポーズの自然さに集中しましょう。骨格ができたら、筋肉や体の丸みを意識して肉付けを行い、人体の基本形を完成させます。

服のシルエットとディテールの表現

人体の基本構造が描けたら、その上に服を着せていきます。服のシルエットを描く際は、体のラインに沿いながらも、服独特のゆとりや形を意識することが重要です。

まず、服の全体的なシルエットを大きく捉えます。タイトなものはボディラインに近く、ゆったりしたものは体から離れた線で描きます。シャツの場合は肩のラインから袖に向かって自然に流れる線を、スカートの場合はウエストから裾に向かって広がる線を意識しましょう。

ディテールを描く際は、機能性と装飾性の両面を考慮します。ボタンやファスナーなどの実用的な部分と、レースやフリルなどの装飾的な部分を適切なバランスで配置することで、リアリティのある服を表現できます。縫い目やダーツなどの構造的な要素も、実際の製作工程を意識して描くと良いでしょう。

素材感と質感の描き分けテクニック

服の魅力を最大限に表現するためには、素材感の違いを描き分けることが重要です。同じシルエットでも、素材によって全く異なる印象を与えるからです。

綿やリネンなどの自然素材は、やや硬めの質感で表現します。しわの入り方も直線的で、折り目がはっきりしているのが特徴です。一方、シルクやサテンなどの滑らかな素材は、流れるような曲線と光沢感で表現します。影の付け方も柔らかく、グラデーションを効かせることで艶やかさを演出できます。

ニットやセーターなどの伸縮性のある素材は、体にフィットする特性を活かして描きます。編み目の質感や、伸びによるシルエットの変化を表現することで、素材の特徴を伝えることができます。デニムなどの厚手の素材は、硬いしわと立体感を強調し、重量感のある表現を心がけましょう。

ファッションドローイング上達のコツ

ファッションドローイングのスキルを向上させるためには、継続的な練習と効果的な学習方法が欠かせません。ここでは、確実に上達できるポイントを具体的に紹介します。

初心者が押さえるべきポイント

ファッションドローイング初心者が最初に意識すべきは、完璧を求めすぎないことです。最初から細かいディテールまで描こうとせず、まずは全体のバランスとシルエットを重視しましょう。

線の強弱をつけることも重要なポイントです。輪郭線は太く濃く、内部のディテールは細く薄くといった具合に、線に表情をつけることで立体感と奥行きが生まれます。また、不要な線は思い切って省略することで、すっきりとした見やすいドローイングになります。

観察力を養うことも上達の鍵です。実際の服や写真をよく見て、どのように影が落ち、どのようにしわができるのかを理解しましょう。街で見かける人の服装や、雑誌の写真なども良い勉強材料になります。

効果的な練習方法と学習のステップ

効果的な練習方法として、まずは模写から始めることをおすすめします。既存のファッションドローイングや写真を参考に、同じように描いてみることで基本的な技術を身につけることができます。

段階的なステップとして、最初は簡単なアイテムから始めましょう。Tシャツやストレートパンツなど、シンプルな形のものから練習し、慣れてきたら複雑なデザインに挑戦します。毎日少しでも描く習慣をつけることで、確実にスキルアップできます。

クロッキー帳を持ち歩き、思いついたデザインをすぐに描けるような環境を整えることも大切です。アイデアは突然浮かぶものなので、いつでも記録できる準備をしておくと良いでしょう。また、自分の描いたドローイングを定期的に見返し、改善点を見つけることも上達につながります。

プロが使うテクニックと応用法

プロのデザイナーが使用する高度なテクニックとして、パースペクティブ(遠近法)を活用した表現があります。正面図だけでなく、斜めからの角度や後ろ姿なども描けるようになると、デザインをより多角的に表現できます。

色彩の活用も重要な要素です。モノクロのドローイングも美しいですが、色鉛筆やマーカーを使って色を加えることで、より魅力的で説得力のある表現が可能になります。特に、色の組み合わせやトーンの統一は、プロのデザイナーが重視するポイントです。

デジタルツールの活用も現代的なアプローチです。タブレットと専用ソフトを使用することで、修正が簡単になり、様々な効果を加えることができます。ただし、基本的な手描きのスキルがあってこそ、デジタルツールも効果的に使いこなせることを覚えておきましょう。

まとめ|ファッションドローイングでブランドデザインを実現

ファッションドローイングは、デザイナーの創造力を具現化する重要なスキルです。基本的な人体の描き方から始まり、服のシルエット表現、素材感の描き分けまで、段階的に学習することで確実に上達できます。

継続的な練習と観察力の向上により、自分だけのオリジナルデザインを表現できるようになるでしょう。最初は模写から始めて、徐々にオリジナリティを加えていくことで、プロレベルのドローイング技術を身につけることができます。

これから服作りやブランド立ち上げを検討されている方で、描いたデザインを実際の形にしたいとお考えでしたら、小ロットからのオーダーアパレル「kugulu(クグル)」がおすすめです。kuguluは一社一貫体制で、デザインが決まったら最初から最後まで全部お任せできる安心のサービスです。50枚からお試し感覚で挑戦でき、受注から納品まで一社対応なので、個人ブランドに必要なものすべてをサポートします。ファッションドローイングで表現したアイデアを、実際の服として形にする夢を実現できます。ユニフォームやイベント用アイテムの製作にも対応していますので、様々なニーズにお応えできます。

「kugulu(クグル)」について詳しくはこちら:https://www.kugulu.jp/