アパレルブランドを立ち上げようとしたとき、多くの人が最初に悩むのが「どこで生産するか」という問題です。国内で丁寧に作るか、それとも海外でコストを抑えるか——。どちらにも魅力がありますが、正解は一つではありません。ブランドの規模、予算、目指す品質やスピードによって最適な選択肢は異なります。本記事では、国内生産と海外生産の違いについて、コスト・品質・納期(リードタイム)という3つの視点から徹底的に比較していきます。
国内生産と海外生産、それぞれの特徴とは?
アパレル製品を作るうえでの「生産地」の選択は、単なる地理的な問題ではありません。そこには品質管理体制、費用構造、コミュニケーションの取りやすさ、そして納期の安定性といった、事業に直結する要素が多く絡んでいます。
国内生産は、何よりも「安心感」と「小回りのきく対応」が魅力です。生産拠点が日本国内にあるため、仕様変更やサンプル確認など、スピーディーな対応が可能です。また、工場との言語的なやりとりに悩むこともなく、細やかな指示が伝えやすいという点も、特に初めてブランドを立ち上げる方にとっては大きなメリットでしょう。
一方で海外生産は、やはりコスト面での優位性が大きいです。特に中国やバングラデシュ、ベトナムなど、世界的なアパレル生産拠点では、大量生産を前提とした効率的な生産体制が整っており、単価を大きく下げることが可能です。最近では、300枚程度の小ロットから対応してくれる海外工場も増えており、以前よりもハードルが下がってきているのも事実です。
コストで比較|国内生産と海外生産の費用構造
ブランド運営においてコストは避けて通れない問題です。どれだけ良いデザインができても、コストが合わなければ事業は継続できません。
まず、国内生産は1枚あたりの単価が比較的高くなります。これは人件費や工場の固定費、物流コストなどが全体的に高いからです。ただし、小ロットでの対応がしやすく、50枚からでも生産可能な工場が存在するため、在庫リスクを最小限に抑えたい立ち上げ期のブランドには適している場合があります。
一方、海外生産はまとまった数量(例:300枚以上)を発注することで、1枚あたりのコストを大幅に下げることができます。Tシャツやパーカーなど、比較的シンプルなアイテムであれば、国内生産と比べて1枚あたり数百円以上の差が出ることもあります。ただし、サンプル作成や輸送費、関税、為替リスクといったコスト要素も見落としてはいけません。特に最近では円安傾向が続いており、思ったほどコスト差が出ないケースも増えています。
品質で比較|クオリティに差はある?
品質の問題は、ブランドの信頼性に直結します。「長く着てもらえる服を届けたい」と考えるブランドにとって、品質は最重要項目の一つです。
国内生産は、縫製の技術や検品体制において高い評価を受けています。百貨店向けやラグジュアリーブランドの一部では、今も国内工場での縫製が選ばれており、その信頼性は揺るぎないものです。特に細部までこだわった仕様や、繊細な生地を扱う場合には、日本の縫製技術が強みとなります。
ただし、現在の日本国内でフル工程を国内で完結するケースは少なく、実際には生地は海外から仕入れ、縫製は国内でというようなハイブリッドな形が多く見られます。加えて、2次加工(プリントや刺繍など)を中心に国内で行い、無地のボディは海外製というケースも増えています。
一方で、海外生産の品質も年々向上しています。特に中国やベトナムの工場では、日本ブランドのOEM経験が豊富な工場が多く、高い水準の縫製が可能です。加えて、刺繍やプリントなどの複数工程を一貫して行える工場も多いため、全体的な品質のバラツキも減ってきている印象です。ただし、仕様書の記載やコミュニケーションミスが原因で思わぬトラブルになるケースもあるため、仕様の詳細やチェック体制には特に注意が必要です。
リードタイム(納期)で比較|スピード感はどう違う?
商品を「いつまでに」「どれだけの数」用意できるかは、アパレルブランドの売上に直結する非常に重要な要素です。特にSNSなどを活用したプロモーションを行う場合、告知から販売までのスピード感が求められるため、生産のリードタイムはブランド運営において無視できません。
国内生産の場合、移動距離や時差の影響を受けないことから、急な仕様変更や追加発注にも比較的柔軟に対応できます。工場とのやり取りもスムーズで、企画から納品までの期間が短くなる傾向にあります。特に小ロットでの短納期を求める個人ブランドにとっては、大きな安心材料となるでしょう。
一方で海外生産では、基本的に納期が長くなりがちです。たとえ生産自体がスピーディーでも、国際輸送や通関手続きに時間を要するため、全体のリードタイムは国内生産よりも長くなります。また、旧正月など海外特有の休暇スケジュールにも注意が必要です。とはいえ、最近ではサンプル制作や輸送の効率化が進み、納期面でも国内との差が縮まりつつあるのも事実です。
生産地選びで失敗しないための判断基準とは
国内か海外か――その判断に正解はなく、ブランドの規模や目的によって選ぶべき道は変わってきます。では、どういった観点から判断すればよいのでしょうか?
まず「ロット数」は非常に大きなポイントです。おおよその目安として、300枚未満の少量生産であれば国内、300枚以上であれば海外という基準が一つあります。国内でも50枚程度から対応可能な工場もあるため、最小限の在庫でリスクを抑えたいなら国内が適しています。
次に「商品仕様」。プリントや刺繍などの加工工程が多い場合は、工程を一括管理できる海外工場に軍配が上がることがあります。逆に、プリントTシャツのようにシンプルな仕様であれば、無地ボディを仕入れ国内で加工するという流れが効率的です。
さらに「品質管理へのこだわり」や「コミュニケーションのしやすさ」も重要な要素です。特に初めてのブランド運営では、思い通りに進まないことも多いため、柔軟な対応が期待できる国内工場との連携は大きな安心材料となります。
国内外の生産トレンドとアパレル業界の最新動向
近年、アパレル業界では「過剰在庫」を避けるため、必要なものを必要なだけ作るという「小ロット生産」のニーズが高まっています。環境配慮の観点からも、大量生産・大量廃棄のビジネスモデルが見直されつつあり、国内外問わずスモールスタートに対応できる工場が注目を集めています。
国内では、2次加工を軸とした小ロット対応の仕組みが定着しつつあり、無地のボディを購入し、プリントや刺繍などの加工を加えたうえでブランドネームを付け替えるスタイルが一般的です。特にストリートブランドやイベント系ブランドではこの方式が多く採用されています。
一方、海外では小ロット対応可能な工場が増加し、以前よりも柔軟な発注が可能になってきました。加えて、オンラインでのやりとりを前提としたOEM/ODMサービスの普及により、初めて海外生産を検討する個人ブランドでもチャレンジしやすい環境が整ってきています。
アパレル生産の選択肢として「kugulu」というサービス
ここまで、国内生産と海外生産それぞれの特徴や違いを比較してきましたが、「それでも不安」「どこに頼んだらいいか分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、小ロットからのアパレル生産をサポートするサービス「kugulu(クグル)」です。
kugulu(クグル)は、一社完結型の体制を強みとし、受注から納品までをすべて一社で対応してくれる頼れる存在です。デザインが決まれば、そこから先のやりとりや進行管理はすべて任せることができるため、ブランド運営に不慣れな方でも安心してアパレル製作に挑戦できます。
最大の魅力は「50枚から生産可能」という小ロット対応。これにより、最小限の在庫でスタートでき、失敗のリスクを大きく軽減できます。さらに、プリント、刺繍、ネーム付け替えなどの対応も可能で、イベント用のユニフォームや飲食店向けのアイテムなど、多様なニーズに応えてくれます。
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