『アパレルOEM生産で安く作れるの?』―製品コストの秘密を探る

cost COLUMN

アパレルOEM生産とその現実

皆さん、こんにちは!今日のブログでは、アパレルOEM生産の商品コスト(製造原価)がどのように決まるのかを詳しく解説したいと思います。

自分でデザインしたオリジナルデザインのアパレル製品を、「小ロットで安く」作りたいとお考えの方にとっては、少々厳しい内容になるかもしれません。

しかし、我々アパレルOEM生産会社がどう品質への妥協なく少しでも安く製品を作るために努力しているのかを理解していただければ幸いです。

なぜ製品コストは作成数量に依存するのか?

ズバリ、アパレル製品のコストを決める一番大きな要因は生産数量です。

つまり、1品番あたりの生産数量が多ければ多いほど、コストは下がります。

この現実について、以下の観点から詳しく解説します。

  • 縫製工賃
  • 2次加工
  • 糸・生地価格
  • 縫製副資材関係
  • 物流費
  • その他諸々のコスト

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1. 縫製工賃:生産量と効率のバランス

縫製工賃は作成数量が多ければ多いほど、値段は下がります。理由は簡単です。

作成数量が多いほど、品番(アイテム)の切り替えが少なくなり、ミシンの停止時間が少なくなるからです。

品番切り替えの際には、ミシンの種類や調整、糸の色などを変更するためにミシンを停止させる必要があります。

例えば、シンプルなTシャツ1枚を作る場合、1時間に100枚の生産が可能とします。

しかし、この間に色を変更し、糸を交換するだけで1時間の停止時間が生じたとすると、生産量が約13%減少してしまうことになってしまいます。

また、一般的に縫製は、各工程を分担し、数人の縫い子でラインを組み、縫製していきます。

縫製開始時と比べ、商品を縫い進めていくごとに一般的には縫うスピードが上がっていきます。

それは生地、デザインの特性から縫製に徐々に慣れてくる事が要因です。

小ロット生産の場合、縫製スタッフがその商品の縫製に慣れてきた頃には商品の生産が完了~次の商品の生産に映るため、どうしても縫製スピードを上げきることができません。

それらの結果として、縫製工賃が上がります。

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2. 2次加工:効率とコストの関係

シルクスクリーンプリントや刺繍などの2次加工も、縫製と同じく、作成数量が少なければコストが上がります。

特にシルクプリントは色の変更が頻繁に行われますが、その度に洗浄と色の交換が必要になるため、作成数量が少ないと停止時間が増えてしまい、コストが上昇します。

刺繍を行う場合も同様の考えで割り返しコストおよび作業効率がコストUPの要因となります。

例えば、データ作成やデザインの調整は、大ロットであっても小ロットであっても必要な作業です。

デザインデータを刺繍用に変換するためのソフトウェアを使用してデータを作成する作業や、サンプルを作成してデザインの確認を行うプロセスなどは、生産数に関係なく一定のコストがかかります。この固定コストを少ない数量で割り返しする為、1点あたりのコストが高くなります。

また刺繍機を特定のデザインや色の糸に交換するための時間は、大ロットでも小ロットでも変わらない場合が多いです。

このセットアップ時間は生産ラインを停止する必要があり、大ロットと比較し生産効率が著しく低下する為、小ロットの場合、1アイテムあたりのセットアップコストが高くなってしまいます。

knitting machine

3. 糸・生地価格:生産量との相関関係

アパレル商品に使われる糸の価格は、作成数量が少ない場合でも大きく変動しません。

しかし、生地の価格は、生産量と直結します。

具体的には、生地の種類が変わるたびに編機を調整し、掃除する必要があるため、小ロット生産に使用される生地では価格が比較的高くなってきます。

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4.縫製副資材関係:量と価格の関係

ブランドネームや洗濯絵表示、ブランド下げ札、ボタン、ファスナーなどの副資材も、大量に発注すれば安くなります。

これらも上記で説明したように副資材メーカーの作業効率による部分が大きく影響してきます。

logistics

5.物流費:一見見落としやすいが重要なコスト

商品を作るだけでなく、それを運ぶ物流費も無視できません。

大量生産すれば物流効率が上がり、結果として単価あたりの物流費が下がります。

例えば、海外からの輸入を考えてみましょう。

商品が海外から輸入される際には通関手続きが必要となります。

この通関手続きには固定的な費用が発生します。

通関費用は一回の取引量にかかわらず一定であるため、小ロット生産の場合、商品1つあたりのコストが増加します。

大量に輸入すればするほど、この固定費を多くの商品で割り返しできるため、単位あたりのコストを下げることができます。

6.その他諸々のコスト

その他にも、生地、付属を購入する際に必要となる人件費や運賃、縫製現場での裁断、仕上げ(ボタン付け、プレス等)全ての工程においてコストが発生します。

小ロット生産の場合、これらコストの割り返しがどうしても大きくなってきますので全体的コストUPとなってきます。

まとめ

こうしてみると、アパレルOEM生産の商品コストは、製造から物流までの各工程における作成数量と深く関連しています。

希望単価を街で見かける大手量販店(ユニ○ロ、ニ○アンド、しま○ら等)を参考に価格を設定されているお客様もおられますが正直これは到底不可能な目標となります。

なぜならこれら大手量販店の発注ロットは1アイテムあたり数万~数百万というとても大きな数量で大量に作っているからこそ実現可能な価格となります。

したがって、「小ロットで安く」生産することは困難であるという現実を理解することが大切です。

しかしながら、我々アパレルOEM生産会社は、お客様のご要望に応えるべく、品質に妥協しない条件下で少しでも安く製品を作るために日々努力しています。

これからも皆様のご理解とご支援をいただけますと幸いです。

 

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