ファスナー発注のポイントとは?素材・サイズ・納期で失敗しないための基礎知識

ファスナー発注のポイントとは?素材・サイズ・納期で失敗しないための基礎知識 COLUMN

「ファスナーを発注したいけど、どんな種類を選べばいいのか、発注のタイミングや注意点がわからなくて不安」「とにかく失敗したくない」そのようなご相談をたくさんいただきます。

実は、ファスナー発注で失敗しないためには、素材やサイズ、数量の指定だけでなく、納期やロットの確認まで事前に押さえておくことが重要です。

この記事では、ファスナー発注の基礎知識として、代表的な素材の違いや選定ポイント、発注時の注意点、納期の目安までを丁寧に解説していきます。

ファスナーを発注する前に知っておくべき基本知識

ファスナーを発注する前に知っておくべき基本知識

アパレル製作において、ファスナーは見落とされがちですが、完成度や使い心地に大きく影響するパーツの一つです。とくにファスナーの発注は細かな仕様の指定が必要なため、慣れていないと記載漏れや発注ミスが起きやすい工程でもあります。初めての服作りやブランド立ち上げに挑戦する方にとって、こうした専門的な知識を持たずにファスナーを注文するのは不安も多いはずです。

本記事では、ファスナーの種類・素材・サイズ・納期といったポイントを押さえ、発注の流れでつまずかないための知識を体系的に解説します。まずはファスナーの基本構造や名称から理解し、正確な指示ができるようになることが発注成功の第一歩です。

ファスナーの種類と素材の選び方

ファスナーと一言でいっても、その種類は多岐にわたります。大きく分けて「コイルファスナー」「ビスロンファスナー」「金属ファスナー」の3種があり、それぞれ用途や表情が異なります。

コイルファスナーは軽量で柔らかく、曲げに強いためカジュアルな衣服やポケット、バッグの内装などに向いています。歯(エレメント)は樹脂でできており、ファスナーの裏側に歯が隠れる「裏使い」が可能なのも特徴です。

ビスロンファスナーはエレメントが樹脂製ながらも凹凸感があり、スポーティな印象を与えるためブルゾンやパーカーなどに使用されることが多くなります。

金属ファスナーはジーンズやライダースジャケットなど、重厚感やエッジの効いた印象を与えたいときに使用されます。使用感に加え、ファッション性も重視されるため、スライダーやメッキの仕上げにもこだわりが求められます。

用途に応じてファスナーを選び分けることが、商品全体の完成度を高める大切な工程です。

ファスナーの素材がデザインと機能性を左右する

ファスナーは機能だけでなく、デザイン上の重要なアクセントにもなります。例えばゴールドの金属ファスナーはラグジュアリーな印象を、逆に黒のビスロンファスナーはストリート感を引き立てるなど、与える印象が大きく異なります。

また、開閉のしやすさや耐久性、衣服との相性なども考慮する必要があります。縫製工場に丸投げせず、ブランドとしてどんな印象を与えたいのか、機能性にどこまでこだわるのかを考えた上で、素材や種類を選ぶことが大切です。

ファスナーのサイズ・長さ・色をどう決めるか

ファスナーのサイズ・長さ・色をどう決めるか

ファスナーの「サイズ」とはエレメント(務歯)の大きさを表すもので、一般的には「3サイズ」「5サイズ」「8サイズ」などの表記があります。数字が大きくなるほどファスナーの厚みや幅が大きくなり、耐久性が高まります。一方で衣服全体に占める存在感も増すため、デザインバランスとの兼ね合いも重要です。

ファスナーの長さは、製品本体に対して0.5cm単位で調整するのが基本です。たとえば13.5cm、45.0cmなど。12.3cmなど細かすぎる寸法は対応できないため、設計段階から「0.5cm単位」で寸法を合わせる意識を持つと、発注時にトラブルを回避できます。

色選びで商品の印象が変わる

色については、エレメントとスライダー(引き手)の色を同色にする場合と、あえて違う色にする場合があります。標準では同色になるため、デザイン上あえて異なるカラーにしたい場合は、表面処理コード(例:C5=シルバー、X6=マットブラックなど)を指定する必要があります。

ビスロンファスナーや金属ファスナーは基本的に同色で使用されることが多く、特別な指定をしないケースもありますが、コイルファスナーは意匠性のある組み合わせも多いため、配色を含めた発注指示が求められます。

ファスナーは洋服の中心線に配置されることが多いため、選ぶ色によって完成後の印象が大きく左右されることを意識しましょう。

発注時の納期・ロット・価格交渉の注意点

ファスナーの発注は、ただ必要な品番や長さを指定するだけでは完結しません。生地や付属資材の中でも、とりわけ納期やロットに関するトラブルが起きやすいのがファスナーです。特にYKKファスナーは人気が高く、指定カラーや特殊スライダーなどになると納期が長くなる傾向があります。

通常品であれば1週間〜10日前後で納品されることが多いですが、特注色・特殊仕様・メッキ加工付きのスライダーを組み合わせる場合は、納期が2週間以上になるケースもあります。商品の発売時期や撮影スケジュールが決まっている場合は、逆算して余裕を持ったスケジューリングが不可欠です。

また、小ロットで発注する場合には、一定数以下だと割高になる「ロット単価」や「最低発注数量(MOQ)」にも注意が必要です。ロットをまとめた方が1本あたりの単価は下がりますが、小規模ブランドの場合、無理な在庫を抱えることは避けたいところです。価格交渉の際は、自分のブランド規模と製品展開のスピード感を考慮して、納得のいく条件をすり合わせていきましょう。

よくある失敗とその対処法

ファスナーの発注でありがちなミスには、次のようなパターンがあります。

  • 製品区分の記載漏れ

  • ロック機能の要不要が曖昧

  • スライダーの色やメッキの指示ミス

  • 寸法が0.5cm単位でない

  • 裏使いの指定を忘れていた

これらの多くは、仕様書の記入段階での確認不足によって起こります。特にスライダーの仕様はファスナーの実用性に直結するため、「ただ開閉できればよい」と思っていると、製品としての信頼性を損なう結果にもなりかねません。

対処法としては、発注前にチェックリストを用意し、一つひとつ仕様を再確認する習慣を持つことが効果的です。また、過去にミスした内容を記録し、次回に活かす運用もおすすめです。取引先とのやりとりで齟齬が出た場合には、可能な限り写真や仕様書ベースで情報を共有し、認識のズレを未然に防ぎましょう。

発注先の選び方と信頼できる業者の特徴

ファスナーの発注はYKKなどのメーカー経由だけでなく、専門商社や資材問屋、OEM工場などを通じて行うことが一般的です。大手商社は豊富な在庫とサンプル対応の柔軟さが強みですが、小ロット対応や相談しやすさを重視するなら、中小の専門業者に強みがあります。

信頼できる発注先を選ぶポイントは3つあります。第一に、こちらの要望に対して正確かつスピーディに対応してくれるか。第二に、過去の事例や実績を共有してくれるか。第三に、小ロットや短納期の要望にも柔軟に対応できる体制があるかどうかです。

特にブランド立ち上げ初期は、発注量が少なく、要望が変わりやすい時期でもあります。無理に大口取引を求めてくる業者より、少ないロットでも親身に相談に乗ってくれるパートナーを選ぶことが、ブランドの安定成長につながります。

まとめ

ファスナーの発注は、ただスペックを決めて終わるものではありません。素材・サイズ・ロック機能・カラー・納期…そのすべてにおいて、商品としての完成度を左右する要素が詰まっています。

特にこれからブランドを立ち上げようとする方にとっては、最初の1本をどう選び、どう仕上げるかが、その後の製品作りの礎になります。失敗を避けるためにも、ファスナー発注の基礎を押さえ、信頼できるパートナーとともに一歩ずつ進めていきましょう。

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