ニット生地の注意点を知って安心!服作りで失敗しないための基礎知識

ニット生地の注意点を知って安心!服作りで失敗しないための基礎知識 COLUMN

伸縮性や柔らかさが魅力のニット生地ですが、その特性ゆえに取り扱いや縫製でトラブルが起きがちです。この記事では、服作りを始めたばかりの方でも安心してニットを扱えるように、よくある失敗例とその対策、素材ごとの特徴や保管・洗濯の注意点などをわかりやすく解説します。

ニット生地とは?特徴と魅力を知ろう

ニット生地とは?特徴と魅力を知ろう

ニット生地は、柔らかくて伸縮性があり、体の動きにフィットしやすいのが大きな魅力です。カジュアルウェアやカットソー、スポーツウェアなどに広く使われており、その着心地の良さから、多くの人に愛されています。

この生地は、糸をループ状に編んで作られるため、織物に比べてしなやかで伸びやすく、体のラインに自然になじみます。また、ドレープが美しく出るため、デザイン次第でエレガントな表情を引き出すことも可能です。

布帛との違い

ニット生地と布帛(ふはく)生地の最大の違いは、その構造にあります。布帛は縦糸と横糸を交差させて織られているのに対して、ニットはループ状の編み目によって形成されているため、全体に伸縮性があります。これにより、体に自然にフィットする仕上がりになる一方で、裁断や縫製にはコツが必要です。

ニット特有の伸縮性と風合い

ニット生地は、動きやすさを重視する衣服に最適です。しかしその伸縮性は、扱い方を誤ると仕上がりが伸びてしまったり、シルエットが崩れたりする原因にもなります。柔らかく肌ざわりの良い風合いは、服作りの魅力を高めてくれる一方で、製作の際には慎重な工程管理が求められる素材です。

ニット生地を扱うときの基本的な注意点

ニット生地は、裁断や縫製の際に慎重さが求められます。生地の特性を理解せずに進めてしまうと、仕上がりに大きな差が出てしまうこともあります。ここでは、ニット生地を扱ううえで押さえておくべき基本的なポイントを紹介します。

裁断前に気をつけたいこと

ニット生地を裁断する際には、まず「水通し」を行うことが大切です。ニットは洗濯によって縮む性質があるため、あらかじめ水通しをしておくことで、完成後にサイズが変わってしまうのを防げます。特に天然素材を使用したニットや、薄手・柔らかめのニットは水通しによる影響が大きいため、必ず事前に処理しましょう。

水通しを行ったあと、生地が丸まってしまうことがありますが、数日間広げて放置する「放反(ほうたん)」をすることで、ゆがみをある程度戻すことができます。

地の目の取り方とズレの防止

ニット生地は地の目(編み目の方向)が分かりにくく、布帛のように簡単に揃えることができません。地の目がズレたまま裁断をしてしまうと、完成後にシルエットが崩れてしまったり、着用中に歪みが出てしまうこともあります。

地の目を確認するには、生地を軽く引っ張って自然に戻る方向を確かめたり、ルーペや光に透かして編み目の流れを見たりするのがコツです。裁断前には生地をしっかりと整えて、伸ばさず自然な状態で型紙を置きましょう。

ニットでよくある失敗とその原因

ニット生地は見た目もやわらかく、手触りも気持ちいいため、一見すると扱いやすそうに思えるかもしれません。しかし実際には、伸縮性や縫製時の難しさから、初心者がつまずきやすいポイントも多く存在します。

仕上がりが伸びてしまう原因

もっとも多いトラブルの一つが、仕上がった服が「想像以上に伸びてしまった」というものです。これは、縫製中に生地を引っ張ってしまったり、不適切な針や糸を使ったりしたことが原因で起こる場合があります。

ニット生地はテンション(張力)をかけた状態で縫うと、そのテンションが残ってしまい、着用時に余計に伸びたり、戻りが悪くなったりします。縫う際は生地を無理に押したり引いたりせず、ミシンの送りにまかせるのが基本です。

型崩れ・波打ちの発生理由

もうひとつよくある失敗が、縫い代部分が「波打ってしまう」または「よれてしまう」という現象です。これは、針や糸が生地に適していない場合に起こりやすく、特に薄手のニットやよく伸びる素材では注意が必要です。

ニット用のミシン針や、伸縮性のあるミシン糸を使わずに縫うと、糸が生地の動きについていけず、縫い目にストレスがかかってしまいます。また、送り歯に生地が引っかかってしまうと、生地がよれて波打ってしまう原因になります。

このようなトラブルを避けるには、縫い始めにハトロン紙やクッキングシートを生地の下に敷くと、スムーズに縫えるようになり、形崩れもしにくくなります。

ニット生地の種類別に気をつけたいポイント

ニット生地の種類別に気をつけたいポイント

ニットと一口にいっても、素材や編み方によって特徴はさまざまです。それぞれの素材に応じた扱い方を知っておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

コットンニットの場合

コットンニットは肌ざわりが良く、通気性にも優れているため、Tシャツやカットソーに多く使われています。ただし、水分を含むと縮みやすい性質があるため、水通しは必須です。縫製時には厚みが均一でない部分もあるため、針と糸を適切に選ぶ必要があります。

また、縫い代を割らずに倒す方向を工夫することで、仕上がりのシルエットにも差が出ます。ナチュラルで柔らかい表情を出したい場合は、縫い代を表に響かせないよう意識しましょう。

ウールニットの場合

ウールニットは保温性に優れており、秋冬のニットウェアによく使われますが、非常にデリケートで、水や摩擦に弱いという難しさもあります。水通しでは縮みすぎないように短時間で済ませ、乾燥も自然乾燥が基本です。

縫製時には生地が厚く重なりやすいため、段差部分では押さえ金の圧力や縫い目のピッチを調整することが重要です。ウールは自然なドレープが出やすいため、縫い代の処理やアイロンのかけ方にも気を配りましょう。

ポリエステルニットの場合

ポリエステルニットはシワになりにくく、速乾性が高いため、スポーツウェアやインナーによく使われます。ただし、滑りやすく針が入りにくいという特徴があるため、ミシンの設定や押さえの選定に工夫が必要です。

また、熱に弱い種類もあるため、アイロンがけの際はあて布をするなど温度管理にも注意が必要です。

ニットを使った縫製での注意点とコツ

ニット生地を縫製するには、布帛とは異なるアプローチが求められます。生地の伸びやすさに対応した道具選びと、縫い方の工夫が成功への鍵です。

ミシン針と糸の選び方

ニットには、必ず「ニット専用」のミシン針と糸を使用しましょう。ニット用の針は先が丸くなっており、生地を破りにくく設計されています。糸は、伸縮性のあるニット用ミシン糸を選ぶことで、生地の動きに追従し、糸切れを防ぐことができます。

通常の針や糸を使用すると、針が生地を裂いてしまったり、縫い目が引きつれてしまったりと、完成後の見栄えに大きな影響が出てしまうため要注意です。

ステッチが伸びるトラブル対策

縫い目が伸びてしまう、もしくは糸が切れるといったトラブルは、ステッチの種類やミシンの設定によって回避できます。家庭用ミシンであれば、「ジグザグ縫い」や「伸縮縫い」が基本となります。直線縫いだけで仕上げようとすると、伸縮時に縫い目が耐えられず切れてしまう可能性があります。

ニット専用ミシン・押さえの活用

ニット生地を多く扱う予定がある場合は、カバーステッチミシンやロックミシンを活用すると効率的です。裾や袖口をきれいに仕上げたい場合には特に効果的です。また、「ニット用押さえ」や「ローラー押さえ」を使うことで、生地の送りが安定し、縫いズレも起きにくくなります。

洗濯・保管時の注意点と長持ちさせる方法

せっかく完成したニットアイテムも、洗濯や保管が適切でないと、すぐに劣化してしまいます。日常的なケアを丁寧に行うことで、作品の寿命は大きく伸ばすことができます。

洗濯ネット・中性洗剤の活用

ニットは摩擦や水分に弱いため、洗濯機で洗う場合は必ず洗濯ネットを使用し、ドライコースなどのやさしい設定を選びましょう。洗剤は中性洗剤がベストで、アルカリ性の洗剤は繊維を傷める原因になります。

平干しとシワ防止のポイント

ニットは吊るして干すと、水の重みで型崩れを起こしやすいため、必ず平干しを基本とします。シワを防ぐためには、形を整えてからタオルの上などに広げ、風通しの良い場所で自然乾燥させましょう。

たたみ保管と湿気対策

収納時はハンガーを避け、たたんで保管することが基本です。ハンガーにかけると重みで肩が伸びてしまい、型崩れの原因となります。さらに、湿気のこもる場所はカビの原因になるため、除湿剤や防虫剤も併用しましょう。

初心者でも安心して使えるニット素材とは?

ニット生地の中にも、初心者に扱いやすい素材とそうでないものがあります。はじめてのニット服づくりに挑戦するなら、扱いやすさを重視して素材選びを行うことが成功のポイントです。

扱いやすいニット生地の条件

適度な厚みと張りがある素材は、裁断や縫製時にもたつきにくく、初心者にはおすすめです。逆に、薄すぎたり、非常に伸縮性の高い素材は、ミシンに絡んだり縫いズレを起こしたりしやすいため、避けたほうが安心です。

練習に適したニット素材の例

「天竺ニット」や「スムースニット」などは、厚さと柔らかさのバランスがよく、初心者でも扱いやすい素材です。初めてのニット作品には、これらのベーシックな素材で慣れてから、徐々に難しい素材にチャレンジしていくとよいでしょう。

まとめ|ニット生地で服作りを楽しむために

ニット生地は、デザインの自由度が高く、着心地も良いため、ブランドを立ち上げるうえで大きな武器となる素材です。その一方で、扱いにはコツが必要であり、初めての方にとってはハードルが高く感じられるかもしれません。

そんなときに心強い味方となってくれるのが、小ロットからスタートできるアパレル製作サービス「kugulu(クグル)」です。

kuguluは、デザインから生産までを一社で完結できる一貫体制を整えています。50枚からの少ロット生産が可能で、「まずは試しに作ってみたい」という方にもぴったり。縫製や素材選びに不安がある方でも、経験豊富なスタッフがサポートしてくれるため、安心して服作りに挑戦できます。

個人ブランドの立ち上げや、イベント用ユニフォームの製作など、「自分だけの想いをかたちにしたい」と考えるすべての方へ。まずはkuguluを通して、ニット生地の魅力と可能性を体験してみませんか?

▶︎ kugulu公式サイトはこちら

COLUMN
小ロットからのアパレル海外生産サービス